2025.12.01

不動産担保ローンが通らないのはなぜ?審査に落ちる理由と対策を詳しく解説

近年、不動産担保ローンの利用を検討する人が増えています。

事業資金、教育資金、借入の一本化(おまとめローン)など、幅広い目的に対応できることから、その利便性と柔軟性が注目されています。

しかしその一方で、「審査に通らなかった」という声も少なくありません。

「自宅や所有する不動産を担保にしているのに、なぜ審査に落ちるのか?」という疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。

本記事では、そうした悩みや疑問を持つ方に向けて、不動産担保ローンの審査に通らない主な原因と、再チャレンジのためにできる対策などについて分かりやすく解説します。

不動産担保ローンの審査に通らない理由について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

不動産担保ローンの審査基準

不動産担保ローンの審査では、借り手に関する審査基準(人的審査)と担保に関する審査基準(物的審査)の2種類で総合的に判断されます。

それぞれの審査基準について解説します。

借り手に関する審査基準【人的審査】

不動産担保ローンの審査では、借り手の「人的要素」が重視されます。

借り手に関する審査基準で重視されるのは以下の項目です。

 

・収入の安定性

・返済能力

・信用情報(クレジットヒストリー)

 

まず、収入の安定性が確認されます。一般的に年収300万~500万円以上、勤続年数2年以上が目安です。正社員や公務員など安定した職業が有利とされ、転職直後や自営業者は確定申告書などで収入を証明する必要があります。

次に返済能力として、年収に対する年間返済額の割合(返済負担率)が25~35%以内であることが望まれます。

さらに信用情報も重要で、CICやJICCなどの信用情報機関に登録された返済履歴や延滞、債務整理の有無がチェックされます。過去の支払いが適切であれば信用度が高く評価され、審査通過に有利です。

担保に関する審査基準【物的審査】

不動産担保ローンの審査では、担保となる不動産についても念入りに審査されます。

担保に関する審査基準で重視される項目はこちらです。

 

・不動産の評価額

・不動産の権利関係

・立地・物件の状態

 

不動産担保ローンの物的審査では、担保となる不動産の価値・権利・状態が重視されます。

まず、金融機関は路線価や公示地価、取引事例をもとに時価を算定し、評価額の60~80%を融資上限とするのが一般的です。

次に登記事項証明書(登記簿謄本)で所有者や抵当権、借地権、共有持分などの権利関係を確認し、担保設定が可能かを確認します。

また、立地や建物の状態も重要です。都市部に所在するなど利便性と需要が高いエリアにある土地は評価が上がりやすく、災害リスクが高い場所や再建築不可など法的に問題がある物件は評価が下がります。築年数が古い物件も評価が下がる傾向が見られます。

金融機関は、借り手の人的要素や担保物件の価値を総合的に判断して、融資の可否や金額を決定します。

不動産担保ローン審査に落ちる主な理由

不動産担保ローンの審査に落ちるのは、返済能力や信用情報、担保不動産に問題がある場合が大半です。

ここでは、不動産担保ローンの審査に落ちる主な理由について解説します。

収入状況に問題がある

不動産担保ローンの審査に落ちる理由の一つが、収入状況に問題がある場合です。

金融機関は返済を安定して続けられるかを重視しており、年収が低い、あるいは収入が不安定、または勤続年数が短い場合は返済能力が不足していると判断される可能性があります。

特に自営業者やフリーランスは、毎年の収入の変動が大きいため、確定申告書などで継続的な収入を証明できなければ審査が厳しくなります。

審査を通過するには安定した雇用形態や、家計全体で無理のない返済計画を立てることが重要です。

他社からの借入が多い

他社からの借入が多いケースも審査に落ちる主な理由の一つです。

複数のローンを抱えていると、返済比率(年収に対する返済額の割合)が上がるため、返済能力が低いと判断されやすくなります。

また、借入件数が多いと金融機関に「資金繰りが厳しいのでは」と不安を持たれ、信用評価が下がることも考えられます。

対策としては、不要なカードローンやキャッシング枠を解約する、少額の借入をまとめて返済する、繰上返済で残高を減らすなどが有効です。

一例として、「おまとめローン」で複数の借入を一本化すれば、返済比率の改善と信用力アップを期待できます。

信用情報に傷がある

信用情報に傷があることも、審査が通らない大きな要因です。

信用情報とは、クレジットカードやローン、携帯電話の分割払いなどの利用履歴を記録したデータのことです。延滞や返済遅れ、債務整理(任意整理・自己破産など)の履歴があると、金融機関は返済リスクが高いと判断し、融資を見送る場合があります。

これらの情報は、CICやJICC、全国銀行個人信用情報センターなどに登録され、通常5~7年ほど保有されます。

もし過去に支払い遅延がある場合でも、現在の返済をきちんと続けていれば信用は徐々に回復するので、過度な心配は不要です。

日頃から支払いを遅らせないこと、不要な借入を控えることが審査通過への近道です。

担保評価が低い

不動産担保ローンの審査では、担保となる不動産の価値が大きなポイントになります。

金融機関は万が一、返済が滞った際には、担保を売却して貸付金を回収することになります。そのため、評価額が低いと融資額が下がったり、場合によっては審査に通らなかったりする可能性があります。

評価の対象となるのは、土地の立地や形状、接道状況、建物の構造や築年数、管理状態などです。例えば、築年数が古い建物や再建築不可の土地、需要の少ない地域の物件は、どうしても評価が低くなります。

評価が十分でない場合には、信用力のある連帯保証人を立てることで、審査が通りやすくなるケースもあります。

書類の不備・申請内容の不一致

不動産担保ローンの審査では、提出書類の不備や申請内容との不一致が、審査落ちにつながる要因となります。

特に、虚偽の申告をしたり、書類の不正・改ざんが疑われるような点がある場合は、金融機関からの信頼を損ね、審査に通ることは期待できません。

また、必要書類の提出期限が守られていない、収入証明や確定申告書の内容と申込書の記載が食い違っている、といったケースも注意が必要です。こうした場合、追加確認や再提出が必要となり、審査が長引くだけでなく、「情報管理や自己申告の信頼性」に疑問を持たれる可能性があります。

申込の際は、記入漏れや添付書類の不足がないかを丁寧にチェックするとともに、収入や他社借入状況など、すべての情報を正確に伝えることが大切です。

銀行とノンバンクによる不動産担保ローンの審査基準の違い

不動産担保ローンの審査方法は、銀行とノンバンクでは基準や特徴が異なります。

ここでは、銀行とノンバンクによる不動産担保ローンの審査基準の違いについて解説します。

【銀行】金利は低いが審査は厳しい

銀行の不動産担保ローンの審査基準や金利などをまとめた表はこちらです。

審査基準厳しい
金利低め
申込から融資までの期間2週間~1カ月以上
融資期間最長35年

銀行の不動産担保ローンは金利は低めですが、審査は厳格です。

融資を行う際、銀行は返済能力を見極めるため、年収・勤続年数・信用情報・既存借入などを細かく確認します。

担保となる不動産についても、登記内容・建物の構造・築年数・立地などを詳細に評価し、法的な問題がないかもチェックします。

そのため、審査に時間がかかり、申込から融資実行までの期間は通常2週間~1カ月程度です。

ただし、金利はノンバンクよりも低めに設定されており、長期的に返済をする場合は総支払額を抑えやすくなります。

安定した収入と信用力のある人にとっては、有利な条件で融資を受けられるローンです。

【ノンバンク】金利は銀行より高めだが柔軟な審査が魅力

ノンバンクの不動産担保ローンの審査基準や金利などをまとめた表はこちらです。

審査基準緩い
金利高め
申込から融資までの期間3~10営業日
融資期間最長35年

ノンバンクの不動産担保ローンは、銀行に比べて金利がやや高めに設定されていますが、そのぶん審査が柔軟なのが魅力です。

銀行では年収や勤続年数、信用情報などが厳しい基準で審査されますが、ノンバンクではより幅広い層に対応しています。

例えば、自営業者や個人事業主、転職後間もない人でも、返済能力や担保評価によって融資が受けられるケースがあります。

融資までのスピードも早く、最短で3~10営業日ほどで実行されることがある点もメリットです。担保設定の条件も比較的緩やかで、借地や底地、共有持分なども対象になる場合があります。

短期間で資金調達をしたいなど、審査の柔軟性を重視したい人に向いています。

不動産担保ローンの審査に落ちたときの対策

不動産担保ローンの審査に落ちても、再挑戦の道は残されています。

落ちた原因を正しく把握し、信用情報や担保不動産、融資条件を見直すことで、次の審査で通過できる可能性は十分にあります。

ここでは、不動産担保ローンの審査に落ちたときの対策について解説します。

信用情報を確認して改善する

もし不動産担保ローンの審査に落ちてしまったら、まずは冷静になってご自身の信用情報を確認してみましょう。

信用情報機関(CICやJICCなど)に情報開示を申し込むと、過去のクレジットカードやローンの利用履歴が見られます。延滞履歴や債務整理の記録といった、いわゆるブラックな情報が登録されていないか、チェックしてください。

そうした履歴がある場合は、その記録が消えるまでの期間(通常は5~7年程度)を待つことで、改めて審査に通る可能性が高まります。

また、クレジットカードのリボ払い残高や、複数のカードローンを利用しているなど、過剰な借入がある場合は早急に見直すべきです。

日々の返済をきちんと続け、無駄な利用を控えるだけで、金融機関から見た信用スコアは少しずつ改善されていきます。次回の審査通過に大きくつながる第一歩となります。

担保不動産の見直し

不動産担保ローンの審査に通らなかった場合は、担保に提供した物件を見直すのも有効な手段です。

担保評価が低いと希望していた融資額まで届かず、審査に通らないケースも実際に見受けられます。その場合、立地がよく流動性が高い別の不動産を担保として差し出すと、再審査が通りやすくなる可能性があります。

登記の名義や権利関係が整理されているかも重要です。例えば、物件が共有名義になっていたり、建物が未登記の状態だったりすると、金融機関はリスクがあると判断して評価を下げることがあります。名義を一本化するなど、登記内容を整理しておくと安心です。

建物の老朽化などの管理状況も評価に影響します。外壁や屋根の補修、敷地の整備といったメンテナンスを行うことで、担保価値の向上を期待できます。

融資希望を減らす

希望していた融資額を見直してみるのも効果的です。年収に対して返済比率が高すぎると、返済能力に不安があるとみなされて審査に落ちてしまうことがあります。

希望額を少し減らして再申請することで、毎月の返済額が軽くなり、返済比率が下がります。金融機関は無理のない返済計画と判断するため、審査に通る可能性が高まります。

また、必要な資金を段階的に借りる方法や、ほかの資金調達手段と併用するのも現実的な選択です。無理のない借入額を設定することが融資成功の秘訣といえます。

審査基準が緩やかな金融機関を探す

不動産担保ローンの審査に通らないときは、別の金融機関を検討するのもよい方法です。

銀行によって審査基準は異なるため、必ずしもすべての金融機関で同じ結果になるとは限りません。

例えば、信用金庫や地方銀行などの地域密着型金融機関は、顧客との関係性を重視する傾向があるため、大手銀行より柔軟に対応してもらえる場合があります。

また、ノンバンクには審査基準が緩やかなところがあり、ご自身の収入や担保物件に合った金融機関が見つかる可能性があります。

融資を急がず選択肢を広げて探すことで、審査を通過できるチャンスが広がるでしょう。

よくある質問(Q&A形式)

ここでは、不動産担保ローンの審査が通らない場合のよくある質問にお答えします。

Q1. 自己破産後でも借りられる?

A 自己破産後でも、不動産担保ローンを利用できる可能性はあります。

不動産担保ローンは申込者の信用情報だけでなく、担保となる不動産の評価額を重視して審査が行われるためです。

たとえ信用情報に事故歴が残っていても担保評価が高い場合や、審査が柔軟なノンバンクを利用することで、融資を受けられるケースがあります。

ただし、自己破産から間もない場合や返済能力に不安があると判断されると、審査通過は難しくなります。信用回復の期間を置き、安定収入を確保してからの申込が現実的です。

Q2. 不動産担保ローンの審査に落ちた場合、再申込はできますか?

不動産担保ローンの審査に落ちた場合でも再申込はできます。

ただし、同じ内容で短期間に再申請しても結果は変わりにくいため、改善策を講じることが必要です。

可能であれば金融機関に対して審査に通らなかった理由を確認し、返済能力や担保評価など、どの点が課題だったのかを把握しましょう。

その上で収入アップや支出削減、担保不動産の価値を高めるなど具体的な改善を行います。

再申込のタイミングは前回から3~6カ月程度経過してからが得策です。改善点を具体的に数字で示すと説得力が増すので、審査通過の可能性が高まります。

Q3. 不動産担保ローンに通らない主な原因は?

不動産担保ローンの審査に通らない主な原因は、返済能力・信用情報・担保不動産のいずれかに問題がある場合です。

たとえ高額な不動産を担保にしても、収入が不安定であり、他社からの借入が多いと返済能力に不安があると判断される可能性があります。担保不動産の価値が低い場合は、そもそも借入自体が難しいケースです。

また、過去に返済の延滞や債務整理がある場合は、信用情報に傷がついているため審査に不利です。担保物件の権利関係が複雑な場合も、審査が通らない要因になります。融資を希望する際は、信用力と担保の両面を整えることがポイントです。

まとめ

不動産担保ローンの審査が通らないことには、必ず明確な理由があります。収入・信用情報・担保不動産など、どこかに審査基準を満たさない要素があると考えられます。

だからこそ、焦らずに一つずつ問題点を確認し、改善していく姿勢が欠かせません。

信用情報の見直しや担保の再評価、他社ローンの整理など、小さな対策を講じることが次のチャンスを生み出します。

そして何より、「審査に通らなかった=終わり」ではありません。金融機関によって基準は異なるので、他社ではローンを承認される可能性も十分にあります。

不動産担保ローンの審査が通らなくても諦めず、正しい情報と対策で前向きに再チャレンジしていきましょう。

不動産担保ローンの利用をお考えの方は、株式会社岡村商事の不動産担保ローン(オカリイレ)の利用もぜひご検討ください。スタッフ一同、親身になってご相談に乗らせていただきます。